カテゴリー別アーカイブ: 07 農業という仕事

野菜は体にいいのか?

一般的に、「野菜は健康にいい」とされています。無農薬で作った野菜ならなおさらよさそうと思っている方も多いかと思います。

でも本当に野菜は健康にいいのでしょうか。ちょっと考えてみたいと思います。

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そこでまず考えるべきことは、食べ物を食べると、人体にどういう影響があるのかということです。

食べ物が口に入ると、美味しいとか、美味しくないとかという味覚、嗅覚、そして脳が感じる幸福感があります。

次に胃で食べ物が消化され、腸に入ってくると、糖分が吸収され、血糖となって体中を巡ります。エネルギーを体中に分配していくわけですが、過剰な糖分は血糖値の上昇という形に現れます。

さらに、腸内の環境を左右します。ヨーグルトや納豆のような菌を含んだ食べ物が腸内フローラに影響を与えることもありますし、食物繊維が善玉菌の餌となり腸内環境を整えたりということもあります。

また糖分以外の各種栄養素(タンパク質、ビタミン、ミネラル等)が腸から体内に吸収されて、体の部品を作っていきます。

以上まとめると、食べ物を食べると人間は下記のような影響を受けるのです。

①味覚、嗅覚、脳で幸せを感じる
②糖分を吸収して、血の中に糖分を取り込み体中にエネルギーを分配する。血糖値が激しく上がることは体に負担を掛け、糖尿病のリスクも増えるので、よろしくない
③腸内環境を左右する
④糖分以外の栄養素で体作りを行う

(他にも細かく言えば、歯に詰まって虫歯になりやすくなるとか、塩分の強い食事で胃がやられるとかありますが、今回は割愛いたします。)
で、最初の問いに戻って「野菜は健康にいいのか?」という問いに対しては、①から④の影響に分解して応えるとわかりやすくなるかと思います。

①→一般的には野菜を食べて幸福感を感じる人は少ない
②→じゃがいもなどの一部の野菜を除き、糖分が少なく血糖値は上がりにくい。もちろんカロリーも少ない。また食事の最初に食物繊維を摂取すると、その後白米などを食べても血糖値が上がりにくいとされている。よって血糖値の観点からは野菜をたべることはよいこと。
http://toushitsu.jp/eat/smart/smart04/
③→食物繊維をとることによって、腸内の善玉菌が活性化すると言われている。よって腸内環境にとって野菜をたべることはよいこと。
④→何の野菜か、栽培状況などによって異なるが、一般的にビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富

という感じになり、健康にはよさそうです。ただし④の部分で特にタンパク質は不足がちになるので、野菜だけたべてもダメでしょう。
また野菜の欠点は、やはり①の幸福感が少ないというあたりです。ここを美味しい野菜を提供する、あるいは調理法を工夫するなどしてクリアできれば、かなり食材としては魅力的になるのです。

ちなみにお肉は健康によいのかという問いにすると、
①→幸福感を感じる人が多い
②→糖質は含まれないので、血糖値は上がりにくい
③→肉の食べ過ぎは、腸内環境にとってよくない
④→タンパク質が豊富

となります。肉は③に対して、かなり悪影響を及ぼすので、それを野菜を食べることで補うことで全体のバランスが取れます。

白米はどうかというと、
①→幸福感を感じる人が多い
②→ほぼ糖質なので、血糖値が急激に上がりやすい
③→食物繊維が少ないのでいい影響は与えない。ついつい食べ過ぎてしまい腸に停滞するとよろしくない
④→糖分以外の栄養素はそれほど多くない

白米はカロリーを摂取するには極めて有利な食べ物ですが、それ以外ではあまり役割を果たしていないように思います。白米控えめ、野菜大目で!

というわけで、結論としては、野菜は健康によいです!GOLDEN GREENは皆様に美味しい野菜を提供することで、皆様の健康増進に役に立ちたいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。

GOLDEN GREENのお野菜お申込みはこちらです。

 

本の紹介『慢性病を根本から治す 機能性医学の考え方』斎藤 糧三著 光文社新書

先日、近所の小学校でPTAの方向けに「食育と健康」について講演をしてきました。そのときに、食と健康についていろいろと調べものをしたところ、友達に紹介してもらい、この本に出会いました。

 

機能性医学とは聞きなれない言葉ですが、本の紹介文を引用すると、

「機能性医学」とは、糖尿病や高血圧といった発症メカニズムが複雑な慢性的な生活習慣病を、できるだけ治療薬に頼ることなく、その根本的な原因に立ち返って完治を目指そうとする次世代の新しい医療を指す。

とあります。いままで東洋医学の領域だったところに、西洋医学が領土を拡大してきたといったところでしょうか。高齢化が進み、医療費が国家予算を圧迫していくなかで、人の健康寿命を延ばしていくことは、日本だけではなく世界中の先進国の課題です。機能性医学はその課題に向かっていくものなのです。

アレルギーや、うつ病、肥満、冷え症など、学校へ行けないとか仕事を休まなくてはならないわけではないけど、仕事や勉強の能率を著しく下げてしまうような病気が増えているというのも、社会が抱える問題です。

農家であり、食べ物を提供する立場の私からすると、お客様の健康のために何ができるのだろうかというあたりが一番気になります。

そんななか本書にて、危険な食べ物として扱われているのが、糖質です。

糖質は、ごはん、パン、麺類、シリアル、砂糖などの甘味料を使った清涼飲料水やお菓子、果物、じゃがいもなどのイモ類などに含まれています。

これらの糖質は、いままでの栄養学のなかでは特に危険なものであるとはされていませんでしたが、機能性医学では、糖質の過剰摂取は完全なる悪者です。特に精製糖といわれる、白いご飯やパン、砂糖を含むお菓子などは極悪人扱いです。
というのは、これらは血糖値を急激に上げてしまいます。
詳しいメカニズムは省きますが、血糖値の急上昇はガン、心臓病、脳卒中、くすみやシミの増加、動脈硬化、アルツハイマーなどの多くの病気リスクを上昇させます。

私は8年前に農業研修を受け始めた時、ものすごい勢いで白米を食べていました。初めての肉体労働をしたため、体がカロリーを求め、それに応えるように、お昼と夜に2合弱の白米を食べていました。
お昼ごはんを食べた後には眠くなり、昼寝を取っていました。昼寝から起きても体は怠く、思うように動いてくれませんでした。今思えば過剰な糖分摂取が、体や頭の能力を著しく制限していたのだと思います。

この本を読み、糖分の危険性を知り、食事の最初には野菜を食べるようにしました(食物繊維は糖質の吸収を阻害するので、血糖値があがりにくくなります)。また白米から玄米に切り替えました。
それでも、たまには白米も食べますが、そうするとあまりの美味しさに悶絶しそうになります(新米の時期ですし。。。)。白米のような精製糖は麻薬的な喜びを脳にもたらすので、中毒性があるのです。そういう意味でも大変に危険なのです。

食後はすぐに眠くなってしまう人、食後に気持ちが前を向かない人、もちろん生活習慣病のリスクを下げたいと思っている方は、一度糖質を制限してみて、体や心の調子がどう変化するのか自分自身で観察してみることをお勧めします。

さらにそのあたりのメカニズムに興味を持った方は、ぜひ本書をお読みになってください。さらにうちの野菜を食べて、糖質制限の一助としていただければ幸いです。

(耕平)

 

 

『キレイゴトぬきの農業論』久松達央著

『キレイゴトぬきの農業論』久松達央著 新潮新書

農家の先輩で、いろいろと教えてもらっている茨城の有機農家久松達央さんが『キレイゴトぬきの農業論』という書籍を新潮新書から出版されました。有機農業をやっている人間が有機農業を客観的にかつ興味深く解説した素晴らしい本でした。
目次をみると一章は有機農業の三つの神話として

「神話1 有機だから安全」  「神話2 有機だからおいしい」 「神話3 有機だから環境にいい」

と最初から刺激的な内容です。

そして、実は私自身もこの3つは神話だと思っています。ただし有機だから危険、美味しくない、環境によくないと言っているわけではなく、有機農産物イコールで安全、おいしい、環境にいいというのは神話だと言っているだけです。つまり美味しくない有機野菜もあるし、環境に悪い野菜作りもできるということです。危険な有機野菜を作ることはちょっと難しいですが、できなくはないと思います。逆に、有機でなくても、安全な美味しい野菜作りはできるし、環境に優しい農業もできます。有機でなくても本当に美味しい野菜を作っている方はたくさんいらっしゃいます。
安全で美味しい野菜作りという目標を掲げたときに、“有機”“有機以外”という二項対立の分かりやすい図式を持ち込んでしまうと、目標が曖昧になり、下手をするとその目標に到達できないことがあるのではないかというのが、久松さんの意図するところではないかと思います。
この本は、農業にありがちな誤解をときながら、仕事論、農業の復興論、そして原発事故に直面した際のお話まで大変読みやすく書かれており、興味のある方はぜひ手に取って読んでみてください。

さて、この本を読みながら、ほとんどの部分はうんうん、なるほどと同意しながら読んでいたのですが、一点だけ見解が違う分があります。
久松さんは美味しい野菜の条件として、「旬であること」「美味しい品種を選ぶこと」「鮮度良くお届けすること」の3条件をあげており、栽培方法つまり有機肥料の有効性はほとんどないと書いておられます。
私は久松氏があげる3条件は必須だと思いますが、有機肥料の有効性は2割から4割くらいあるのではないかという考えの元、肥料設計を行っています。それは同じ時期に、同じ集落の他の農家さんが作る野菜よりも、自分たちの野菜のほうが美味しく感じるからです。まあ、自分の舌なので多分に偏っている可能性がありますが、集落の野菜農家の方がうちの野菜を買ってお中元として使ってくださることもあり、いまのところ有機肥料の有効性を信じてやっています。
冬の時期になると、久松さんを含んだ千葉・茨城の農家の方と共同で勉強会をやるのですが、この有機肥料の有効性の議論ではいつも千葉・茨城派閥と長野派閥で見解が分かれるところです。

そして一番共感して読んだ部分は、「美味しい野菜でお客さんに喜んでもらう」という山に登りたいがゆえに、直販型の有機農業というアプローチを採用しているのだという個所でした。たぶん僕たちは直販型の農業でなければ、農業自体にとっくに挫折していると思います。お客さんに喜んでもらえることにやりがいを持って野菜作りに励みますので、今後ともよろしくお願いいたします。

(「畑からのたより・11月号より)


 

農閑期の過ごし方

GOLDEN GREENでは2月の1ヶ月間が完全休業となります。
といいつつも、前半は在庫野菜の出荷をしていましたし、町内で卓球大会が開催されたため
それに向けての練習などでわりと忙しく過ごしておりました。

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階段の窓から撮影しました。

2月中旬、私は親不知を抜歯して回復まで痛みや腫れが続いたため、5日間安静にしていました。

後半に突入してからは、「とにかく美味しいものを食べに出かけよう!」ということで、軽井沢や東京
へ出かけてきました。

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「日本一予約の取りにくいイタリアン」と言われている軽井沢にあるレストランにて。
少量多品目のコース料理に、1皿ずつに合わせたワインが出てくるのですが、見事なマリア―ジュに感動しました。

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野うさぎのローストです。
ここのコースを体験すると、レストランで食事をしたというよりも、貸切の劇場で感動的なショーを観たという感覚に包まれます。

 

こちらは東京・恵比寿にあるイタリアン「Biluce」さんにて。
シーズン中は毎週野菜を卸させて頂いています。とても美味しいイタリアワインがグラスで色々楽しめて大満足でした!
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この時期しかできないことといえば、実家への帰省です。ほんの数日の帰省でしたが、家族団欒ができて良かったです。

帰宅して山の空気にホッとした自分に、すっかり田舎の人になったことを感じました。

ハルは雪の中を思う存分駆け回り、銀世界を満喫しています。
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あっという間に農閑期も終わってしまいそうですが、春の始動に向けて引き続きのんびりしっかり休息します!

(かも)

野沢小学校で授業しました

同じ集落に住む小学校の先生の依頼で、佐久市立野沢小学校にて小学校5年生98人を対象に、授業をしてきました。100分くらい時間をいただいたので、

・なぜ農業を始めたのか?

・どのような農業をしているのか?

の二点をなるべく分かりやすく説明したつもりです。

「なぜ農業をはじめたのか?」という質問はよく受けるのですが、答えるのは結構難しいものです。というのは、いくつかの要因とタイミングが絡み、さらには後ろ向きの要因もあってそれは意識的にスルーしてしまったり、またやってみたら全然違った部分もあり、冗談で人に話をしているうちに脳みそ内に刷り込まれてしまった部分もあったりで、自分でも当時の状況を解きほぐすことはできません。

でも一番核にあった部分、エネルギー問題を軸にして農業へ転身した理由を語りました。

端的にいえば、人口は増え続けているけど、化石エネルギーはピークを迎えていると言われていて、これからは一人当たり使えるエネルギーはどんどん減少してしまうという背景があり、そんななかで生き残る産業は、衣食住とりわけ食に関わる仕事ではないか、特に一番下のほうで食を支えている農業の需要は減らないのではないかという予測に基づき、農業という道を選択したということです。

いま日本ではひとりあたり一年間で石油換算で4000キログラムのエネルギーを消費する完全なる化石燃料依存型の社会です。4トンですよ。ほんと凄い量の石油を燃やすことで生きているのですよね。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4020.html

もちろん農業も完全に化石燃料依存で、農産物のカロリーよりも投入エネルギーのほうがはるかに多いと言われています(有機農業も慣行農法もそれほど大差はないと思います)。
http://agora-web.jp/archives/1485123.html

いまから10年後、エネルギー価格はいまよりだいぶ高くなっているというのが予測されています。

授業を受けた小学校5年生の子供たちにはいろいろな情報をもとに未来を予測して、自分には何ができるかをしっかりと考えてほしいなと思い、すこし難しい話もしてしまいました。

ちょっとだけでも伝わってればいいなと思います。

最後まで集中力を切らさずに聴いてくれた98人の子供たちに感謝です。DSC_0016

 

農村における価値判断基準

 ~2011年8月号の「畑からのたより」より~

今年は田んぼの出来がイマイチです。田植え直後にイネゾウムシという害虫が田んぼに大挙して押し寄せ、葉っぱをガジガジかじったので、その後の生育がだいぶ遅れてしまいました。

田んぼはほとんど自家消費用に作っているだけなので経営的なダメージは少ないものの、農家としては田んぼを失敗するのはちょっとカッコ悪いのです。

僕達の住んでいる集落では、農家でなくてもほとんどの家庭で田んぼをやっています。おじいちゃん連中は、毎朝田んぼを見ながら、「山田さんの田んぼは生育が悪い」とか、「小林さんちはよくできている」と噂話をするのです。

都会では人を判断するモノサシとして、例えば住んでいる地域とか、乗っている車とか、着ている服とか、務めている会社の格とかが挙げられるけれども、少なくともこのあたりではそれらのモノサシはほとんど使われません。

住んでいる地域なんて先祖代々からの話ですし、車なんて砂利道の多い農村で見栄をはっても仕方無いのです。僕の独断と偏見によると、農村のモノサシはズバリ、「米の収量」と「トラクターの馬力」の2つです。

田んぼとトラクターはほとんどの人が持っているものなので、モノサシとしては最適です。

僕が新規就農した当時、程度のいい中古のトラクターが手に入らなくて、泣く泣く新車のトラクターを購入しました。

「在賀さんちは来てすぐに新車でトラクターを買った!」とすぐ噂は広まりました。その年に近所のかたが二人、

うちのトラクターよりも微妙に馬力のあるトラクターを購入したのには驚きました。そのうち一人は、あと数年で引退しようとしている高齢農家。「減価償却できるのかい!?」と周りの誰もが思いました。

また、うちは一年目にビギナーズラックで米の収量が集落で一番よかったのですが、それまでうちの畑には集落の人が代わる代わるやって来て農業のウンチクを語っておられたのですが、米の収量がよかったと分かって以来、

ウンチクを語られることが少なくなったように思います。

しかし、今年予想される米の収量では、「所詮あいつらは農業をわかってないよな」という周りの冷たい視線に今から怯える日々ということは全然ないのですが、やっぱりちょっと格好つけたいんですよね、新参者としては・・・。