キャッチコピー

Golden Greenのキャッチコピーは「おいしくて、栄養価が高くて、安全なお野菜を食卓に」となっています。

このコピー、結構迷いました。何に迷ったかというと、順番です。

おいしい
栄養価が高い
安全

この三つの中で、どれを最初にもってこようか、どれを最後に持ってこようかで随分悩んだのです。
結局この中で、一番優先すべきことは何だろうと考えていった結果、まず美味しくなくちゃと思ったのでした。当たり前の話ですが、おいしくないものを毎日食べ続けるのは辛いですよね。
子供の頃は、栄養がいっぱいあるからという理由で、嫌いな野菜を食べさせられることがあります。嫌いは嫌いでしょうがないのですが、その野菜の作り方が悪くて美味しくなかったとしたら、野菜嫌いの子供を生み出しているのは、農家の責任です。
糖度が高く、旨味たっぷりの野菜であれば、もしかしたら子供は野菜を好きになってくれるかもしれません。大人だって同じです。野菜がほんとうに美味しければ、肉ばっかりではなく、ちゃんと野菜もたっぷり食べてくれることでしょう。
美味しいというのは、食事をする上で最も重要なことだと考えています。食事が美味しければ家族の会話も増えます。
そんな野菜作りをしたいなと思い、美味しいを最初に持ってきたのでした。もちろん「思う」だけで美味しい野菜が作れれば苦労はありません。Golden Greenでは良質な肥料を適正量投入し、小さい畑をこまめに見回り野菜に足りないものはないかを観察しながら、美味しい野菜をつくっています。

次に「栄養価が高く」と入れました。野菜に栄養があるのは当たり前でしょといわれてしまいそうですが、実はそうでもないのです。
例えば50年前の野菜と、いまスーパーで売られているような野菜を比較すると、栄養価が実は全然違います。
以下は文部科学省が出している「日本食品標準成分表」の昭和25年(初版)、昭和56年(四訂)、平成12年(五訂)の数字です。

なんとホウレン草のビタミンAは10分の1以下、鉄分なんかも5分の1程度です。ニンジンも似たようなものです。

ほうれん草
ビタミンA...8000→1700→700
ビタミンC...150--→65----→35
鉄分............13.0→3.7----→2.0

にんじん
ビタミンA...13500→4100→1500
ビタミンC...10------→6------→4
鉄分............2.0----→0.8----→0.2

これほどまでに栄養価が落ちてしまった訳は、いろいろとあると思いますが、化成肥料と農薬のセットでとにかく多収や見た目の良さだけを目指した農業スタイル、ミネラル成分(鉄とかマグネシウムなど)を過小評価した農法などによるところが多いと思います。そしてそのような野菜が流通量の99%を占めても、まったく問題にしないで今までやってきた、流通、小売り、消費者などにも問題はあるのだと思います。

ビタミンが極端に減少してしまっているのは、簡単にいうと植物の中にある炭水化物が足りていないのです。大雑把にいうと、ビタミンは炭水化物(CHO)がいくつもくっついてできるものなのです。
鉄分などは、野菜は自ら作り出すことができません。そのため農家が土に鉄分を施してやらなければ野菜に鉄分は不足してしまいます。

昔にくらべると農業技術は上がったと思われています。多収や見た目の綺麗さの追求という点においては確かにそうなのでしょう。しかし反面、中身がスカスカの野菜になってしまっているのです。

健康のために野菜を食べましょうというのは、半ば常識として定着していますが、「どんな野菜を食べるか」によってその内容は大きく異なってしまいます。

これは単純に昔の農法に戻せばよいという話ではありません。昔の農法の収量では残念ながら、僕たちは生活していくことができません。昔の農法のいいところは取り入れつつ、植物の生理を理解し、科学的に正しいとされているやり方を組み合わせて栄養価の高い野菜を作っていこうとしています。

最後に「安全」についてのお話をしたいと思います。Golden Greenは無農薬で野菜を作っているので安全だ!といいたいところなのですが、これもそう簡単な話ではありません。変な言い方ですが、無農薬でも安全でない野菜をつくることは可能です。
一例ですが、硝酸態窒素というものがあります。これは肥料分を過剰に畑に施し、野菜が消化不良を起してしまっている時に、野菜に残留してしまうものです。
硝酸態窒素を食べると、まず口の中でえぐみや苦みを感じます。ホウレン草を食べてみて、えぐみが強かったら必ず茹でてから食べましょう。茹でると硝酸態窒素を除去することが可能です。この物質が体内に大量に摂取されると、メトヘモグロビン血症、発癌、生殖機能の障害といった健康被害を引き起こすと考えられています。乳児の場合には、最悪死に至るケースもあるみたいです。(主にヨーロッパで発生。日本では例がない)

硝酸態窒素も肥料のやり方次第で減らすことは可能です。何においても完全に安全な野菜!ということは言えませんが、今もっている知識の中で最大限安全な野菜を作っていきたいと思っています。
小さなお子さんがいらっしゃるご家庭がうちのお客様には多いので、特にそう思うのかもしれません。お客様が、わざわざうちの畑までお子さんを連れて見学にいらして下さることがあります。お子さんの姿をみると(ものすごく生意気な子供を除く)、安全な野菜を作ろうと強く思うのです。顏が見える野菜ということで、スーパーには生産者の顏写真が貼ってあるものもありますが、本当に見えるべきなのは、消費者の顏なのではないでしょうか。

(耕平)