有機野菜って何なんだ?

第一回「長くて内容が分かりづらくて、読んでいるうちに不眠症が解消しました!」シリーズは、有機野菜ってどういうものかというのを書いてみたいと思います。

「有機野菜」という言葉だけを見ると、有機でつくられた野菜ということです。つまり無機の肥料、一般的には化学肥料と呼ばれているものを使わずに、有機肥料(生物の排泄物や死骸などを原料に発酵させたり、高圧で搾ったりしてできた肥料)だけで育てた野菜が、有機野菜なのです。

ただし、日本で有機野菜というと、JAS認定を受けた野菜を有機野菜と呼びます。JAS認定を受けない限り、有機野菜と言う事はできないのです。つまりGoldenGreenの野菜は、有機野菜ですと宣伝することはできません。

JAS認定をとればいいのですが、当農場のように60種類くらいの野菜を作ろうとすると、野菜の値段を倍くらいにしないとペイしないような仕組みになっています。品種毎に、いつどのような肥料をどくれらいやったか、農薬を使っていないかなどの膨大なレポートを作成し、JASの係員に検査をしてもらい、その検査員の宿泊費や交通費まで負担しなければ、いけません。

ちなみにJAS有機の定義は「農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないで、自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料及び畜産物に付けられています。」となっています。

JAS規格は、多品種少量栽培をしている農家を想定していないのでしょう。というわけで、いまのところJAS認定を取得するつもりは全然ありません。公的機関の認定を受けた野菜を購入されたい方は、そういう野菜だけを扱っている流通業者さんがあるので、そういうところでお買い求め下さい。

ちょっと話がずれましたが、有機野菜(JASの定義する有機野菜じゃないよ)というのは、肥料についてのみ言及しているだけで、農薬については言及していません。

当然、有機肥料を使い、農薬を撒いている野菜もあれば、農薬を使っていないものもあります。
また、化学肥料を使い、農薬を撒いている野菜もあれば、農薬を使っていない物もあります。(後者は限りなく少ないとは思いますが)

大きく分けると、野菜は4種類あるということですね。

もちろん、GoldenGreenでは、有機肥料を使い、農薬を使わない野菜を作っていきます。

ではなぜ、有機肥料を使うのかというと、有機肥料をつかったほうが、おいしい野菜を安定して作る能力があるからです。

一般に有機肥料というと、「なんとなく安全そう」「自然な感じ?」というようなイメージが先行していますが、安全性においては、そんなに大差はないのではないでしょうか。
硝酸態窒素という問題は残りますが。有機肥料でも硝酸対窒素問題は発生しますしね。

ここからはちょっと専門的なお話になりますが、ご辛抱ください。

つい10年くらい前までは、植物は無機のものしか吸収しないと考えられていました。有機の肥料は、土の中で微生物に無機の状態まで分解されてはじめて、植物に吸収されるというのが学会の定説でした。

その定説の中で、力を伸ばしたのが化学肥料(無機肥料なのです)

ところが、2002年に作物の根が有機物を吸収するという事が、農業技術研究所によって証明されたのです。

これは天動説が常識だった世に、地動説が唱えられた時くらい衝撃的でした。すごくニッチな世界の中だけですが。。。

ちょっと中学校の時の理科の授業を思い返して下さい(忘れているとは思いますが・・・)。植物は光合成をしているって書いていましたよね。光合成っていうのは、太陽の光が持っているエネルギーを使って、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)を合成して、炭水化物(CH2O)と酸素(O2)を生み出します。

で、この炭水化物を使って、細胞をつくり、体を支えるセンイ質をつくり、美味しさのもとであるグルタミン酸などをつくっていきます。

植物にとって、この炭水化物をどれくらい生産出来るのかが、生命を維持し、子孫をたくさん残していけるかのキーになるのです。

で、なにがいいたいかと言うと、有機肥料には、炭水化物の原料となるアミノ酸が含まれていて、それが根から吸収できちゃうということなんです。

天気がよければ、光合成によって十分な炭水化物をつくれますが、曇りや雨だったりすると、炭水化物をたくさんつくれません。

有機肥料を正しく使っていれば,根から炭水化物の原料を吸収できてしまうので、天候に左右されにくい農業ができるのです。
日本では、お米(コシヒカリ)の収量記録は有機栽培でつくられたものです。

というわけで、美味しい野菜をたくさん採れるように有機肥料を使っていきます。

長くなりましたが、農薬についてもちょっと書きたいと思います。

現在の農薬は一昔前と違って、それほど危険なものではありません。農薬の使用量やタイミングもいろいろと規制があって、食卓にならぶ頃には、ほとんど影響がないように調整されています。(ということになっています)

しかし、ずっと農薬を使った野菜を"食べ続けたら"どうなるかは分かりません。またこっちの野菜の農薬と、あっちの野菜の農薬を合わせて摂取したら、どういう影響があるかということに関しては、ほとんどデータがありません。
当農場では、少しでも危険のあるものは極力排除したいと思います。そういう訳で、農薬を使わずに栽培をしていきたいと思います。
それにもう一つ理由があります。農薬を撒いて、一番ダメージをうけるのは紛れもなく、それを撒いている農家です。自分たちの健康のためにも、農薬を使わずに栽培していきます。

よく、農薬を使わないと、虫がついて大変だねー。と言われますが、それもちょっと違います。
植物は、虫にたべられるために体を大きくしているわけではありません。自分の子孫をたくさん残すために、根を伸ばし、葉をひろげているのです。
人間が病気になるのは、体が弱っているときです。植物も虫に食われ、病気になるのは弱っているときです。炭水化物や、窒素分、各種ミネラル成分が足りており、健全に生育している植物に虫はつきません。
農薬はついてしまった虫を退治するためのものです。人間でいう抗生物質みたいなものですね。

もちろん、農業技術が未熟なGoldenGreenの野菜には虫や虫食いがあることが十分に予想されます。ご了承くださいませ。

次回の「長くて分かりづらくて、読んでいるうちに不眠症が解消しました!」シリーズは「人生いろいろ有機農業い

One Comment
  1. DDサトウさん
    コメント、ありがとうございます。
    ぜひ、アルコール系の有機を極めて見て下さい。
    >あと、虫が付いていることや、虫食いがある野菜に慣れていないので、食べるときや保存のときの注意やコツがあれば、
    教えてほしいですねー。(まだちょっと先のことですが。。。)
    はい、野菜の保存法のカテゴリで、徐々に紹介させて頂きます。
    ところで、今度核爆発の化学式について教えて下さい。最近エントロピーの法則を勉強しまして、いろいろ考えだしたのですが、核爆発によるエネルギーって、ちょっとエントロピーで説明するの難しくない?って思い始めているのです。今度、詳しくメールします。もしくは電話します。

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