ぼくんち(不死鳥編)

先日ブログで、引越ししたことはお伝えいたしましたが、今回はもうちょっとちゃんと家について書こうと思います。

家を建てようと思った一番の理由は、今まで住んでいた町営の新規就農者向けのアパートの住める期間が3年と決まっていて、そこを出なければならなかったからです。というのは建前で、新しい家を建てたくて仕方がなかったからです。もうこっちに来た時から、僕は家を建てたくてウズウズしておりました。。
それを様々な状況が後押ししてくれたので、このタイミングでたてることになりました。

今まで住んでいたアパートと同じ集落に、畑を買い、そこに家を建てることにしました。住んでいる集落はほんとにいい人ばかりで、ゆったりとした空気が流れているのが気に入ってしまい、あまり他の集落というのは考えずに決めてしまいました。しかし、土地探しも最初は難航しました。田舎なんて家を建てる土地なんていくらでもありそうなのですが、意外にもそうではないのです。ほとんどの畑は、「農業振興地」という地域に指定されており、容易に宅地に変更できないのです。また不動産屋が売っている土地を把握しているわけでもなく、欲しい土地があれば、地権者を探して自ら交渉にあたらなければいけません。
いい!と思った土地のの地権者が行方不明になって売買ができないなんてこともありましたが、地元の人にお世話になりながら、なんとか見晴らしがよく、周りの環境もよさげな土地を見つけ、購入することができました。土地購入にあたり、お世話になった皆様、ほんとうにありがとうございました。


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約300坪の敷地です。坪単価が都心に比べるともんのすごく安いので、べつにこのあたりではふうつの広さなのです。目の前はいくつかの畑や田んぼがあり、すぐ後ろには農業用水が通年で流れており、水のせせらぎが聞こえ、そのさらに後ろは山になっていて、秋になると紅葉が燃えるように広がる広葉樹が茂っています。
一番近い家でさえ、200メートルくらい離れていますので、夜中に騒いでも誰にも文句を言われません。

この敷地に、家と、野菜を保管し出荷作業を行うための小屋を建てることになりました。

農業は、家業であり生活と仕事の境目があってないようなものです。自分たちの仕事の流れと生活の流れを分析し、無駄なく仕事と家事ができるように家も小屋も設計しなければなりません。家の中にも仕事があり、小屋の中にも生活があります。そのあたりを自由に設計したいため、地元の工務店に仕事をお願いしようと考えていました。

こっちに来てから、すぐに家を建てたいと思っていた僕は、渋る妻を連れてよく住宅展示場に出掛けておりました。そんななかフラっと入ったある工務店の展示場の家の空気が、他のハウスメーカーのものとは全く違い澄んでいた、そんな家がありました。たまたま、そこに居た社長さんに話をすると、理路整然と断熱や構造について、教えてくれました。そのへんのハウスメーカーの営業マンとはレベルがあまりに違い、夫婦ともどもすぐに気に入ってしまったのです。

ところがです。

ある日(家を建てる半年くらい前のことでした)、その工務店の社長さんがアパートに突然いらして、「実は倒産しまして・・・」と言いに来られたのでした。なんでも連鎖倒産で、大口の取引先が倒産してしまい、その余波をもろにくらってしまったらしいのです。

会社は潰れてしまったのですが、これからも細々と家づくりはやっていくとおっしゃっていたのですが、なんとも心配です。

その後、僕らはいくつもの工務店を巡り、話を聞いたのですが最初の工務店を超えるようなところがほんとにないのです。

結局、清水の舞台から飛び降りるくらいの気持ちで、倒産ホヤホヤの工務店さんに仕事をお願いすることにしたのでした。

そして、これが大正解だったのです。

(風雲篇へ続く。っていっても次回が最終です)