キャッチコピーもしくはうちが作ろうとしている野菜について

Golden Greenのキャッチコピーは「おいしくて、栄養価が高くて、安全なお野菜を食卓に」となっています。

このコピー、結構迷いました。何に迷ったかというと、順番です。

おいしい
栄養価が高い
安全

この三つの中で、どれを最初にもってこようか、どれを最後に持ってこようかで随分悩んだのです。
結局この中で、一番優先すべきことは何だろうと考えていった結果、まず美味しくなくちゃと思ったのでした。当たり前の話ですが、おいしくないものを毎日食べ続けるのは辛いですよね。
子供の頃は、栄養がいっぱいあるからという理由で、嫌いな野菜を食べさせられることがあります。嫌いは嫌いでしょうがないのですが、その野菜の作り方が悪くて美味しくなかったとしたら、野菜嫌いの子供を生み出しているのは、農家の責任です。
糖度が高く、旨味たっぷりの野菜であれば、もしかしたら子供は野菜を好きになってくれるかもしれません。大人だって同じです。野菜がほんとうに美味しければ、肉ばっかりではなく、ちゃんと野菜もたっぷり食べてくれることでしょう。
美味しいというのは、食事をする上で最も重要なことだと考えています。食事が美味しければ家族の会話も増えます。
そんな野菜作りをしたいなと思い、美味しいを最初に持ってきたのでした。もちろん「思う」だけで美味しい野菜が作れれば苦労はありません。Golden Greenでは良質な肥料を適正量投入し、小さい畑をこまめに見回り野菜に足りないものはないかを観察しながら、美味しい野菜をつくっています。

次に「栄養価が高く」と入れました。野菜に栄養があるのは当たり前でしょといわれてしまいそうですが、実はそうでもないのです。現在スーパーマーケットでは年間を通じてだいたいどんな野菜でも入手することが可能です。野菜売り場に行っても、「旬」を感じることは難しいでしょう。

しかし「旬」というのはとても大切なものです。野菜は一番育てやすい旬の時期に最も栄養価が高くなり、育てにくい時期に育った野菜には大切な栄養素が少なくなってしまうのです。たとえば、ほうれん草は、旬である冬の時期には80mgのビタミンCが含まれますが、真夏のほうれん草には20mgほどに減少してしまいます。
当農場の野菜セットは、長野県の高原の旬を感じていただけものになっております。

参考文献:『野菜の旬と栄養価』女子栄養大学 栄養学部 生物有機化学研究室 教授 辻村 

http://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/joho/0811/joho01.html

また当農園がある佐久穂町は日照時間が長く、一日の寒暖差がとても大きな場所で栄養価の高い野菜作りに向いている土地です。

佐久穂町は日照時間が年間で2000時間ほどあり(全国平均は1742時間)光合成をおこなうのに有利というのもあります。また夜間の気温が高いと、植物は呼吸量が多くなり、呼吸をするために光合成でつくった炭水化物を使ってしまいます。夜間の温度が低いというのも、美味しい野菜作りには欠かせない条件です。佐久穂町は東京と比べると一日の気温差が4度ほど大きいのです。そのような気象条件も大切な要因になります。

また野菜は、炭水化物化合物である各種ビタミン、糖質、植物繊維などを光合成によって作り出すことができますが、ミネラル成分であるカルシウム、マグネシウム、鉄分などは根から吸収する以外の方法はありません。当農場では、畑の土を検査してミネラルバランスがとれた土づくりを行っており、栄養価の優れた野菜作りを心がけております。

最後に「安全」についてのお話をしたいと思います。有機野菜で無農薬だからスーパーで売られている野菜よりも安全だと言えればとても楽なのですが、そんな簡単な話ではありません。

現在スーパーで出回っているお野菜は、農薬の残留基準は大変に厳しい基準をクリアしており、まず安全です。残念ながら、有機無農薬野菜が、当農場の野菜がスーパーのお野菜よりも安全であるという客観的な証拠は存在しません。

昨今スーパーでは生産者の顔が見える野菜ということで、生産者の顔写真を張ったり、名前をだして親近感、安心感を醸し出しています。でも当農場では、私たち生産者がお客様の顔を思い浮かべながら野菜を作っているという点で、スーパーの先を行っています。
もともと友人、知人であった方がお野菜を買ってくださっているので、顔を思い浮かべられるだけではなく、野菜を買っていただいている方が農場へ遊びにいらしてくださり、顔が”見える”ようになることも多々あります。

客観的に見て、安全であることは過大にアピールすることはできませんが、お客様の顔を思い浮かべて最大限安心して食べて頂けるお野菜作りをこれからも進めていきたいと思っています。

(耕平)