本の紹介『慢性病を根本から治す 機能性医学の考え方』斎藤 糧三著 光文社新書

先日、近所の小学校でPTAの方向けに「食育と健康」について講演をしてきました。そのときに、食と健康についていろいろと調べものをしたところ、友達に紹介してもらい、この本に出会いました。

 

機能性医学とは聞きなれない言葉ですが、本の紹介文を引用すると、

「機能性医学」とは、糖尿病や高血圧といった発症メカニズムが複雑な慢性的な生活習慣病を、できるだけ治療薬に頼ることなく、その根本的な原因に立ち返って完治を目指そうとする次世代の新しい医療を指す。

とあります。いままで東洋医学の領域だったところに、西洋医学が領土を拡大してきたといったところでしょうか。高齢化が進み、医療費が国家予算を圧迫していくなかで、人の健康寿命を延ばしていくことは、日本だけではなく世界中の先進国の課題です。機能性医学はその課題に向かっていくものなのです。

アレルギーや、うつ病、肥満、冷え症など、学校へ行けないとか仕事を休まなくてはならないわけではないけど、仕事や勉強の能率を著しく下げてしまうような病気が増えているというのも、社会が抱える問題です。

農家であり、食べ物を提供する立場の私からすると、お客様の健康のために何ができるのだろうかというあたりが一番気になります。

そんななか本書にて、危険な食べ物として扱われているのが、糖質です。

糖質は、ごはん、パン、麺類、シリアル、砂糖などの甘味料を使った清涼飲料水やお菓子、果物、じゃがいもなどのイモ類などに含まれています。

これらの糖質は、いままでの栄養学のなかでは特に危険なものであるとはされていませんでしたが、機能性医学では、糖質の過剰摂取は完全なる悪者です。特に精製糖といわれる、白いご飯やパン、砂糖を含むお菓子などは極悪人扱いです。
というのは、これらは血糖値を急激に上げてしまいます。
詳しいメカニズムは省きますが、血糖値の急上昇はガン、心臓病、脳卒中、くすみやシミの増加、動脈硬化、アルツハイマーなどの多くの病気リスクを上昇させます。

私は8年前に農業研修を受け始めた時、ものすごい勢いで白米を食べていました。初めての肉体労働をしたため、体がカロリーを求め、それに応えるように、お昼と夜に2合弱の白米を食べていました。
お昼ごはんを食べた後には眠くなり、昼寝を取っていました。昼寝から起きても体は怠く、思うように動いてくれませんでした。今思えば過剰な糖分摂取が、体や頭の能力を著しく制限していたのだと思います。

この本を読み、糖分の危険性を知り、食事の最初には野菜を食べるようにしました(食物繊維は糖質の吸収を阻害するので、血糖値があがりにくくなります)。また白米から玄米に切り替えました。
それでも、たまには白米も食べますが、そうするとあまりの美味しさに悶絶しそうになります(新米の時期ですし。。。)。白米のような精製糖は麻薬的な喜びを脳にもたらすので、中毒性があるのです。そういう意味でも大変に危険なのです。

食後はすぐに眠くなってしまう人、食後に気持ちが前を向かない人、もちろん生活習慣病のリスクを下げたいと思っている方は、一度糖質を制限してみて、体や心の調子がどう変化するのか自分自身で観察してみることをお勧めします。

さらにそのあたりのメカニズムに興味を持った方は、ぜひ本書をお読みになってください。さらにうちの野菜を食べて、糖質制限の一助としていただければ幸いです。

(耕平)